クライアント対談

「この病院なら、大丈夫。」と思える場所をつくる

らいおんこどもクリニック

クライアント対談第4弾。お相手は、長野県塩尻市の小児科医院「らいおんこどもクリニック」院長・髙山先生です。
開院にあたり、ブランドコンセプト、ブランドストーリー、キャッチコピー、ロゴ、色彩計画、サイン、名刺、Webサイトと、トータルでクリエイティブをご支援しました。
「誰もとりこぼしたくない」という先生の強い思いを、必要な人に届けられるように。チームで取り組んできたブランディング、その過程を振り返ります。
(担当デザイナーの百瀬は、取材時不在。ハラと神保でお話を伺ってきました。)

クライアントプロフィール

らいおんこどもクリニック
らいおんこどもクリニック(長野県塩尻市)の院長・髙山和生先生。
たくましい身体と優しい笑顔が印象で、子どもたちに懐かれています。

これまでの支援実績

  • 企業理念
  • キャッチコピー
  • ロゴ
  • コーポレートサイト
  • ブランディングサイト
  • 更新システム(CMS)
  • 名刺
  • 空間・サイン
  • 写真撮影
  • 診察券
  • 看板
  • イラスト

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開院!

ハラ・神保:
このたびは、開院おめでとうございます!
髙山先生:
ありがとうございます。おかげさまで、開院に至ることができました。
最初にご相談したときから、もう1年半…?くらい経ちますか。
神保:
時が経つのは早いですね。オフィスにいらしてくださった日のことが、懐かしいです。
髙山先生:
本当に。開院までだいぶあるなあと思っていたら、あっという間でしたね。開院前までに準備を進めていたはずですが、いざとなるとばたばたでした(苦笑)。
ハラ:
車かららいおんの看板が見えたとき、思わず「おお!」と声が出ました。
神保:
こんなにも開放感があって、いい意味で「病院っぽくない」病院は初めてです。森のなかの野原みたいで、あちこちに動物たちの足跡もあって…あ、あそこにもらいおんさんがいるんですね。かわいい…
髙山先生:
ここまで丁寧に併走してくださった皆さんには、本当に感謝の思いでいっぱいです。

「医院において、ブランディングは必要なのか」

髙山先生:
ご相談した当初は、「医院のブランディングがどこまで必要なのか」、半信半疑だったんです。
というのも、内輪で開業について相談していたとき「病気になったら一般的にみんな病院を受診する。であれば、ブランディングはしなくてもよいのでは?」という意見が出まして。僕の知識では、うまく答えられませんでした。
神保:
おっしゃられること、よくわかります。
髙山先生:
でも僕としては、「とりあえずどこでもいいから受診する」という動機ではなく、「このクリニックだから受診したい」と思っていただけるクリニックにしたかったんです。
そのためには、何かしらの工夫を凝らしたクリニックである必要があると思っていました。その工夫が、ブランディングなのではないかと。
とはいえ、何から始めればいいのかわからず、率直な不安をおふたりにお伝えしました。
ハラ:
先生の思いと、私たちが思うブランディングは重なっていました。
ブランディングでできるのは、クリニック全体のイメージや考え方の表現に、一定の方向性を作り出すこと。押し付けなくても、自然に「らいおんこどもクリニックはこんな場所だ」というイメージが浮かぶようにすることです。
そのために、ぜひ軸の部分から一緒に考えて、先生の思いが、患者さんとの接点すべてにあらわれている状態を目指したいと思いました。
髙山先生:
契約前だったにもかかわらず、一つずつ丁寧に聞いてくださって、大変ありがたかったです。話していくうちに、僕のなかでも「ブランディング」の解像度が上がってきました。
神保:
印象的だったのは、先生が「元気なときでも遊びに来たくなるようなクリニックにしたい」とおっしゃっていたこと、そのときのまなざしがすごく優しかったことでした。「こんな先生がいたら、救われる人たちがたくさんいる」と確信しました。
髙山先生:
本当に深くまで汲み取っていただいて、感無量です。
何度かのやりとりののち、コンサルタントも交えてお話させていただいて、みなさんの物腰の柔らかさや誠実な雰囲気から、ぜひお願いしようと決めました。

先生のなかにある「理念」を言語化

神保:
まず先生には、「ブランディングシート」へのご記入をお願いしました。

髙山先生:
細かく書いてしまって…読むの、大変じゃなかったですか?
神保:
とんでもない!先生から聞いたお話が、クリエイティブすべての土台になっています。
私、回答を読みながら泣きそうになってしまって…オフィスの隅で、必死に涙をこらえた日がありました。
髙山先生:
なんと、そんなことが。
神保:
医師を志したきっかけや、これまで出会った患者さんのこと…お話のすべてから、先生の「誰も取りこぼしたくない」という強い思いを感じて。先生が大切に背負っているものから、優しさの根源に触れたといいますか…こんなお医者さんがいてくれるんだ、と、勝手に救われていました。
ハラ:
先生の思いが、僕たち制作チームにもいい影響を及ぼしてくれました。
髙山先生:
恐縮です…僕自身、みなさんに話すことで、気持ちを整理できた部分もあります。
ブランディング自体初めてだったので、「こんなところまで書いていいのかな?」と不安だったのですが、すごく丁寧に受け止めて、聴いてくださって。「こんなにも寄り添って、理解しようとしてくれるのか」と感動しました。
神保さんは、僕が好きだと言った音楽も聴いてくださって。
神保:
はい、できるだけ先生の感性に近づきたくて。
「らしさ」は言葉にもあらわれますが、どんな音楽が好きとか本が好きとか、好きな景色とかほっとする時間とか、すべてにあらわれると思うんです。もちろん、そのすべてを知ることはできないけれど、その人がどんなふうに世界を見ているか、感じているかを知りたいなと、いつも思っています。
髙山先生:
そのうえでご提案いただいたコンセプト「一緒に、元気に、すこやかに。」は、「これだ!」とすごく納得感がありました。もともと開業理念はあったのですが、すこし硬くて、思いの部分までは反映できていなかったので…自分が大切にしたいことを、ことばにしていただいたような気がしました。とりとめのない話から、よくまとめていただいたなあ、と。今後も、クリニックの指針になる言葉だと思います。

世界観を「絵本のようなおはなし」にする

神保:
そのうえでもうひとつ、今回は「らいおん先生のものがたり」というお話をご提案しました。
サインや空間設計は別の会社さんに関わっていただくということだったので、全員が共通して持てる「おはなし」があるといいなと思ったんです。
「らいおんこどもクリニックはどんな場所で、どんならいおんがいて、どんな動物たちが集うのか」。言語化の周辺の「世界観」まで、認識を合わせられたらと思いました。
髙山先生:
この提案にも感動しました。商談時に「いつか絵本とか作れたらいいですね」とお話したことが、まさかこんなふうに提案してもらえるとは。私の思いを丁寧に汲んでくださっていて、初稿の時点で、すごく練られていると感じました。
神保:
フィードバックにはスプレッドシートを使って、情景描写やらいおん先生のふるまいなど、「自分だったらこう」と、一つひとつ丁寧にご指摘いただきました。
髙山先生:
説明ではなく物語にしていただいたことで、クリニックの在り方がすっと腹に落ちました。スタッフにもスタンスを共有しやすいですし、誰が見ても安心するようなかたちでクリニックの在り方を語っていただいたことは、本当によかったです。
神保:
最初は「ブランドストーリー」として、チーム内の共通認識になればと思っていました。ただ、先生が前向きにフィードバックしてくださったこともあり、Webサイトにコンテンツとして掲載することにしました。

「ものがたり」を体現する色彩計画

神保:
次に策定したのが、ストーリーで描かれている「ぽかぽかあたたかい ひらけた野原」を体現するための色彩計画でした。担当は百瀬です。
ハラ:
僕たちは、表現の方向性を検討するとき「言葉と絵」の両方から考えるんです。言葉だから指し示せること、絵だから想像できることがあるので。ここの認識をすり合わせることが、今回のブランディングの肝でした。
髙山先生:
関わる方が多いなかで、色彩計画の資料はデザインのトンマナを合わせるのにとても役立ちました。百瀬さんからいただく資料は、いつも綿密にまとまっていて…「なるほど、こう考えればよいのか」と勉強になることがたくさんありました。
ハラ:
視覚的なイメージがチームで共有されると、推進力が上がりますよね。
髙山先生:
僕一人だったら、頭のなかのイメージを伝えるのにもっと苦労していたと思います。

「らいおん先生」のロゴ

髙山先生:
ロゴも、素敵なものを百瀬さんにつくっていただきました。
もともとは旧友に作成してもらった、自分とらいおんが一緒に描かれているイラストを名刺に使っていました。それも気に入っていたのですが、クリニック名が「らいおんこどもクリニック」なので、自分=らいおんというイメージにしたほうがしっくりくるのでは、とご指摘いただきまして。たしかにそのとおりだなと。
ハラ:
元のイラストもとても素敵だったので、そこから感じられる「親しみやすい・こわくない」印象は引き継ぎたい、というのが百瀬の意向でした。そのうえで、新たなクリニックのロゴとして「らいおんを使うか否か」というところから考えていきました。
神保:
極限までシンプルに、図形だけという案もあったんですよね。でも、お子さまが見たときのわかりやすさや、与えたい親しみやすさのレベルなどから、「らいおんでいこう」となりました。
とはいえ、らいおんをモチーフにしたキャラクターは世の中にたくさんいるので、「このクリニックだからこそ表現できるらいおんは、どんな姿かたちだろうか」と、社内でディスカッションを重ねました。色彩、口元、毛並みのかたちなど…。
髙山先生:
何度か提案を受ける過程で、迷ったら理念に立ち返り、らいおん先生のものがたりを思い出したりして、じっくりと内省しながら検討しました。クリニックの象徴となるらいおんの姿と、自分の姿を重ねながら、いろいろご要望を伝えさせていただいて。
神保:
先生からのフィードバックで印象的だったのは、「優しいだけではなく、たのもしさも感じさせたい」ということでした。「優しいことは大前提だけど、医師として患者さんを守るために、毅然とした態度を取らなければならないこともある」と。そういった一つひとつのお話から、先生の「優しさ」の表現を検討していきました。
髙山先生:
提案してくださるロゴはどれも素敵で、判断に迷うことも多かったのですが、判断基準を示していただけたのもとてもありがたかったです。
「子どもたちと親御さまにクリニックを認知し覚えてもらうこと」
「長い年月、流行や時代に左右されず先生自身が使い続けられること」
「ブランドストーリーと共存できる・関連性があること」
など、検討事項を示していただいたことで、建設的なやりとりができたように思います。
ハラ:
よかったです。単なる好みではなく、クリニックのロゴとして最適な案を選ぶ道筋を示すことを、僕たちも大事にしていたので。
神保:
さっき、病院の前を通った幼稚園の子たちが「らいおんさんだ!」と指を指していて、ほっこりしました。すでに地元の方から愛されるシンボルとして根付いているんですね。
髙山先生:
そうなんです。ありがたいことに工事中から、声をかけてもらうことも多かったですね。
じっくり対話して選んだからこそ、納得感のあるロゴになったと思います。早速、SNSでも使用させていただいています。

機能的にも情緒的にも、安心感のあるWebサイト

髙山先生:
当初はかなりシンプルな構成を想定していたのですが、「親御さまの不安に寄り添うために、病状別・疾患別でページをつくりたい」と思い始めまして…「こんなページも必要なのではないか」と、都度ご相談させていただきました。
神保:
先生からの提案は、いつも「患者さんもご家族も安心させたい」という意図を感じました。なので百瀬含め私たちも、全力で応えたいという姿勢でした。
髙山先生:
いろいろオーダーしたにもかかわらず、引き受けてくださって大変感謝しています。
予算の制約もあったので、「この場合はこれくらいかかりますが、こうすれば抑えられます」という具体的な提案をしてくださったのもありがたかったです。
ハラ:
Web制作は特に、進めていくうちに適した仕様が変わっていくことが多いので、私たちも柔軟に対応できるようにしています。訪れる人にとっても、使う人にとってもよいツールになるのが一番ですから。
髙山先生:
こちらで自由に投稿できる範囲も広げていただいたので、これから更新がんばらないとですね。
神保:
どなたが発信しても、らいおんこどもクリニックの温度感を保てるよう、ライティングガイドラインも策定しています。とはいえ、一番は先生やみなさんが極力無理なく「らしい」発信を継続できることです。何かお手伝いできることがあれば、いつでもおっしゃってください。
髙山先生:
ありがとうございます。いつも丁寧に併走していただき、本当にありがたいです。

自然な笑顔が生まれた撮影

神保:
Webサイトに使用する写真撮影は、ずっと楽しかったです。開院前にもかかわらず、院内にも、看護師さん同士の間にも、すごくいい空気が流れていて…終始にこにこしていました。先生のモデル力も高くて、チェックしながら「素敵!」を連呼しちゃいました(笑)。
髙山先生:
いやいや、こういう現場が不慣れなもので、こんなのでいいのか?と思いながらでしたよ。
カメラマンさんから、硬い!とお叱りいただいたりして(苦笑)。
ハラ:
患者役を引き受けてくれた子どもたちとの関係性も、すごく素敵でしたね。
先生のお知り合いのお子さんにモデルをお願いしたのですが、撮影に飽きてしまわないか、見知らぬ大人ばかりで怖がらせないか、私たちも不安だったんです。でも、心配無用でした。先生が本領発揮していて、子どもたちもずっと楽しそうで。おかげで、とても自然なカットを撮ることができました。
髙山先生:
ありがたいことに、よくなついてくれていて(笑)。むしろ、距離近すぎないか!?という写真ばかりになってしまいました。
神保:
クリニックに入った瞬間から、先生のもとへ一目散でしたもんね。「こわくない病院」になるように仕掛けた動物の足跡でも、進んで遊んでくださって…ああ、先生のつくりたかったのはこういう場所だったんだと、あらためて実感しました。優しさって、きっと伝播していくんでしょうね。

「この病院なら、こわくない」

神保:
仕事をするなかで、先生の思い、熱意に突き動かされました。それこそヒアリングの最初に言ったかもしれませんが、「子どものころ、こんな病院があったら、こんな先生がいたらよかったな」と。その思いは、プロジェクトを経て一層大きくなりました。先生に救われるお子さまや親御さま、きっとたくさんいるはずです。
髙山先生:
そう言っていただけると、本当にうれしいです。
ハラ:
僕たちとしても、チャレンジングな取り組みをさせていただきました。
AI時代で、デザインやクリエイティブの仕事も変わりつつあるなかで、こうして対話を重ねて思いを体現することは、人間だからできることだなと思います。
髙山先生:
開院して、これからが本番だと思うので、気を引き締めてがんばります。
神保:
先生も、周りの看護師さんに頼りながら、その優しさをご自身にも向けながら、健やかでいてくれたらうれしいです。
私たちにも、ぜひ引き続きお手伝いさせてください。
風邪を引いたらお世話になりたい、と思うけど、もう成人しちゃってるからなあ…

髙山先生:
ありがとうございます。みなさんなら歓迎しますよ(笑)。
いつでも来てください、それこそ元気なときでも!

記事クレジット

  • 写真:松本千尋
  • 文: 神保美月

プロジェクトメンバー

Project Manager
ハラヒロシ
Director
神保美月
Art Director
百瀬陽香
Graphic Designer
百瀬陽香
Designer
百瀬陽香
Writer
神保美月
HTML Coder
堀内宏道
Engineer
堀内宏道
Assistant
栗原康平
Photographer
松本千尋