幻影の時代
『幻影の時代 ― マスコミが製造する事実(著:D.J.ブーアスティン、翻訳:星野郁美, 後藤和彦)』1962年刊行のメディア論の名著(らしい)。
マスメディアが大衆向けになったころから、取材するニュースから製造するニュースに変わった。なぜかといえば、大衆は常に何かを期待しているからで、大衆の期待にこたえるために、ニュースに「価値」があるかという視点で「加工」していくという。過剰な期待が幻影となり、「疑似イベント」になる。その幻影に慣れきってしまったので、それが現実だと思い込んでいる…。問題解決にはならないが、”知る”ということは大事だよ、といった内容。”いかにすべきでないか”の本。
現実というのは一つしかないけれど、それをどう伝えるか、どう表現するかは送り手によって異なります。メディアを勉強していた学生時代、ゼミの先生に「伝える仕事(=ジャーナリストなど)」か「作る仕事(=広告・出版など)」のどちらかの選択肢があるといわれ、「作る仕事」を選んだので、見せ方・表現の方法を”事実をもとに再構築する”、ということを当たり前のようにやっていて、それはそもそも「伝える仕事」とは違うのですが、いずれにしても幻影を作り出す仕事に携わっている以上、メディアリテラシーを理性的に見つめていないといけないと思います。