真田丸の謎 – 戦国時代を「城」で読み解く
真田丸の謎―戦国時代を「城」で読み解く
千田 嘉博 (著)
6日放送の大河ドラマ『真田丸』での、オープニングテーマがエンディングに流されるという幸村的奇策ともいえる演出には、鳥肌が立ち、涙腺が緩みました。クライマックスに向けての期待感はますます高揚し、そしてもうじき終わってしまう寂しさも同時に入り混じっております。
さて、ストーリーに合わせて関連書物を読むのがすっかり楽しみになっていますが、今回は『真田丸の謎―戦国時代を「城」で読み解く』です。
なぜ勇将・真田信繁(幸村)は、「真田丸の戦い」で圧倒的多勢に無勢にもかかわらず徳川軍を打ち破ることができたのか。その裏には「日本一の兵」と称されるに相応しい大胆な戦略と、脈々と受け継がれた城づくりの知恵が隠されていた。城郭考古学の第一人者が、最新調査と資料の新解釈から真田氏の実像に迫るとともに、「城」を手掛かりに群雄割拠する戦国時代を読み解いた力作。
実地調査と最新の研究をもとに真田丸の通説に切り込んでいきます。実は半円形じゃなかった、規模は単なる馬出しレベルではなく難攻不落の出城だった、立地は大阪城の弱点をカバーするものではなかった、守るためではなく攻めるためだった、真田丸の場所が大阪城の守りの要と言えないような場所だったからこそ新参者である信繁に任せられたのでは…といった興味深い考察がわかりやすくまとまっています。著者は大河ドラマでの真田丸城郭考証者とのことなので、ドラマにもこのあたりが反映されるかもしれないですね。
これ読んでいて俄然興味がわいたのが、屏風絵。Wikipediaの大坂の陣に掲載されている『大坂夏の陣図屏風(黒田屏風)右隻(大阪城天守閣所蔵)』には12,583 × 5,608 pixelsという巨大な画像があり、じっくり見ることができます。5000人を超える人が描かれているそうですが、本書によると名前が特定できる武将は21人とのこと。東西の主要人物を探し当てながら配置を確認したりしたい…。同時に、左隻部分には大坂方の兵による乱妨取りなどが描かれていて、戦の惨さを同時に見ることができます。大阪城では屏風絵の絵解きがあるそうなので、いつか行ってみたいなぁ…。