天才を殺す凡人
『天才を殺す凡人』読了。面白かったー!
世の中には「天才」と「秀才」と「凡人」がいる。三者の間にはコミュニケーションの断絶がある。凡人は天才を理解できず、排斥する。秀才は天才に憧憬と嫉妬心を持つが、天才は秀才にそもそも関心がない。秀才は凡人を見下し、凡人は秀才を天才と勘違いしている――。
天才・秀才・凡人という3種類の人間が、どのように関わりあっているのか。そして自分はどのタイプで、その才能をどう高め、組織の中で異なる才能をどうコラボレーションしていくのか。すごく興味深い。「自分には才能があるのか?」それに対する悔しさみたいなものと、その中でどうやってアイデンティティを築いていくのか…ということに、子どものころから常に対峙してきたような気がするので。自分を知るにはとてもいい切り口。
この本では「才能」をシンプルに伝えるため「天才:創造性、秀才:再現性、凡人:共感性」という三タイプに分けています。自分をこれに当てはめると、創造性は皆無、共感性は、うーん、どうかな。再現性にはこだわっているもしくは目指していると思うので、ここでの分類でいけば秀才タイプだと思います。でも一般的に秀才ってポジネガ両方のイメージありますよね。目指すべきは共感性を持てる「最強の実行者」と呼ばれる部類なのだろうな。
- 天才:創造性、秀才:再現性、凡人:共感性
- 凡人の「多数決」というルールが、天才を殺してしまう
- アートとサイエンスは説明能力に差があるので、直接ディベートさせてはいけない。再現性が抜群に高い秀才が必ず勝ってしまうから
- 天才かどうかは、凡人からの反発の量で計測することが可能
- 天才の見える世界観は描写できるけど実態は見せられない。
- イノベーションは、「組織の飽き」に対して、「世の中の余白」に対する天才の指摘によって生まれる
- 誰のなかにも「天才」がいる。同時に、その天才を殺してしまう秀才も凡人もいる
- 人生は配られたカードで勝負するしかない
- 人を動かすためにほ、誰かの言葉ではなく自分の言葉が大事
- 「作って、整えて、販売する」自分の才能をひもづけてどう貢献できるか考える。仕事とは「職能×フェーズ」
- 秀才が天才をどう扱うかで組織の命運が決まる
誰の中にも3つの性格があるという。自分の中の凡人、秀才、天才とは何か。自分の中の凡人が天才を殺していることもあるし、思いついたことをうまく説明できないのは自分の中の天才が出てきたからかもしれない。著者はあとがきで「人の可能性を阻害するものに憤りを感じるから」と言っています。人が挑戦し、成長しようとしていることをちゃんと応援する。そういう立ち回りやフォローができる人間になりたいな、と思ったのが読後の感想。