昔の本
僕が本を買うスピードより、妻が読み終えるスピードのほうがはやくなってきたので、会社の本棚に先代社長が置いていった古い本を持ちかえったら興味深く読みだしました。30年ぐらい前の本に書かれていることと、今の時代とを比べてみるのも面白いかもしれないと思い、追読することに。先見の明のある人の文章は、いつ読んでも面白いなと思いました。
『耕す文化の時代』より抜粋
- 日本人はたぐいまれなる勤労精神と向上心によって屈指の経済大国にのしあがった。しかしダイナミックな新分野開拓では欧米人に劣る
- 前人未踏の仕事をするのは一般的に欧米人で、追いかけてよいものに仕上げていくのが日本人。なぜか、それは日本人が五感すべてを使って知恵を出すことに慣れていない。もともと刈り取り型の民族
- 日本では座るが基本。欧米は立つが当たり前の状態。欧米人の書斎は動き回れる広いスペースが必要。日本人は逆に座って熟考する
- 日本人は典型的な農耕民族。狩猟型ではないので、じっと太陽を待ち、雨を待つ。目しか使わない。対して狩猟民族である欧米人は全身を働かせて考える。特に嗅覚が優れている
- ハンティング型のスポーツ(サッカーやラグビー)は欧米が得意。日本人は野球や相撲が合ってる
- 専門分野に閉じこもってひたすら研究する日本人が仕上げるものは精密で繊細で完成度が高い。欧米人は、獲物をとるために状況に応じて他の分野まで積極的にフットワークを利かせダイナミックに動く。だから未知の分野を切り開ける
- だからといって狩猟民族がよくて農耕民族がダメといいたいわけではない。いちばん近くにしか届かないのが手の感覚であり、いちばん遠くまで届くのが目の感覚。したがって手の感覚と目の感覚が一致したときに初めて正しい判断ができる。日本人はすばらしい目を持っている。農耕民族の誇り。ただし、かつての日本人は同時にすばらしい手も持っていたはず。最近、その手が動かなくなっているのでは。日本人はもっともっと手足を動かさなければならない。