お金の流れで見る戦国時代
戦国時代を「経済政策」といった視点で解釈してみようという本。教科書やドラマなどで見聞きした、武力や戦略といった定説とは違った解釈が得られて、知的好奇心が猛烈に刺激されます。
信長は、自らが持つ経済力を生かした巧みな経済政策と錬金術によって強大な力を得ていったのに対して、ライバルの信玄は貧弱な土地に無理して大軍団をつくろうと民に重税・罰金など重く課してまで金を投入し財政破綻と衰退につながったという。ふたりがやっている政策はまったくの真逆で、本当に同じ時代を生きている人なのかと思ってしまうぐらい(信玄はボロクソ書かれています苦笑)。あと、比叡山の貸金業者としての営業方法は非常に悪辣でその金利は48~72%だったとか、信長の大胆な土地改革が明智光秀の謀反につながったとか、お金があったのに信長に敗れた上杉、毛利、島津…などなど、経済という切り口で今まで知らなかった戦国時代を楽しめます。
経済はそこに暮らす人々全ての基盤になるものだから、本来その視点は外せないはず。時代をしっかり捉えて、経済的な戦略を立てていくことが大事だなと気づかせてくれるのがこの本からの学びでした。これからは戦国武将を、企業の経営者になぞらえてみるという見方ができてより楽しめそう。
お金の流れで見る戦国時代 歴戦の武将も、そろばんには勝てない
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KADOKAWA / 中経出版 (2016-09-09)
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