没後50年”日本のルソー”横井弘三の世界展
信濃美術館で開催中の「没後50年”日本のルソー”横井弘三の世界展」に行ってきました。自分の予備知識はゼロ。”日本のルソー”とも呼ばれるぐらいだからすごい人なんだろうと、チラシに掲載されている作品も好みだし、楽しみにしていた展示です。
長野県飯田市に生まれ、幼少時は東京で過ごし、やがて長野市などに移住。僕の地元である須坂にも滞在していた時期があるようです。正規の美術教育を受けておらず独学で絵を学び、「素人画家」と自認しながら活動。”日本のルソー”と高い評価を受ける反面、独学の取り組みなどで社会から認められない不遇の時代も過ごしたといいます。
新しい技法に積極的に取り組んでいたからか、作風や手法がほんとうに多種多様。1人の作家の展覧会とは思えないほどバリエーションに富んでいました。僕は美術のことが全くわからない素人ですが、素人ながら、この絵はなんだか素人っぽいなと感じるものがあったり、すごくいいな!と思う作品もあったり、とにかくひとつひとつの絵に対して全く異なる感想が湧き上がるという、巡回していて楽しい展示でした。
個人的に好きな作品は、小笠原諸島での一連のスケッチ、書籍「露店研究」の版画、板に直接描いた「花の安茂里」、地元須坂の風景「仁礼小学校全景」、キツネが描かれた「月夜の踊り」など。また「平林街道」という作品は、会社のすぐ近くを通る小さな街道を題材にしたもの。”日本のルソー”とも呼ばれる人が平林街道を?なんて、訪れる前の先入観がいろいろひっくり返ることばかりだったのですが、しかしそこに描かれた山と一本の道と車がとてもシンプルに表現されていることが、なんだか身近に感じられて思わずじーっと眺めてしまいました。