NoteWebディレクター・ハラヒロシのブログ

弱くても勝てます 開成高校野球部のセオリー

寒いので熱い本を読みたい休日。
「弱くても勝てます」―開成高校野球部のセオリーurl 弱くても勝てます ― 開成高校野球部のセオリー 高橋秀実 (著)
という本を一気読み。5年にわたり開成高校野球部を追い続けたノンフィクション作家・髙橋秀実氏によるルポです。開成高校といえば、東大合格者数率ナンバーワンのエリート高校として有名で、正直スポーツと結びつかない印象がありますが、実は硬式野球部が強くて2005年には東東京大会でベスト16まで進んだそうです。それはすごい。興味深い…!
そんな開成高校野球部、実は学校にグラウンドが一つしかなくて他の部活との兼ね合いで練習は週にわずか1回3時間、しかも、はじめて守備練習をみた著者は「異常に下手」と思ったそうです。弱いのになぜ勝てるのか。ますます気になる。練習時間もなく、プレーもまともにできないチームでありながら、開成高校の目標は「強豪校を倒す」。そこには「弱くても勝つ」さまざまな戦略が隠されていて、監督の作戦や部員ひとりひとり(実名)を特徴、立場、変化、自覚などさまざまなアプローチで丁寧に綴られています。
守備練習はしない、(試合が成立するためのマナーとして)ピッチャーはストライクが入ればいい、バントやサインプレーといった技術的な作戦は一切おこなわず、バットはとにかく強く振り「ドサクサにまぎれてコールド勝ち」を狙う。また「打つのは球じゃない。物体なんだよ」とバッティングを物理現象として指導したり、怒鳴り方も論理的だったり、とにかく監督がユニーク。それに負けじと生徒たちも理屈っぽく「球は前から来るから素振りと違う」なんていう表現をしたりする。勉強のエリートでありながら、野球では自分が弱いと自覚して、まじめに、冷静に分析/検証しながら克服しようとする。その弱者の論理は感動的ですらあります。
「こうあるべき野球」からかけはなれた考え方が斬新でした。実際、勝っているのだからすごいです。野球って楽しいなと改めて思いました。開成高校の戦いぶり、これからずっと気にすることでしょう。