昨日の荒業と今日の静寂

複数仕事を抱えているとき、手をつけておかないと気が気じゃないということはよくあると思います。そういうときはたいていスケジュールも同時進行なので、アタマの中ではあのデザインもこのデザインもそれなりに固まってきていて、どれもすぐデザインしたい！でもどれから手をつければいいのか迷ってしまうのです。
通常は一日の中で時間のフレーミングをして割り振ることで脳内秩序を作り出そうとするのですが、昨日は複数案件が同時に沸騰してしまったので、全部一度にやったる！という衝動に駆られたのです。自ら混沌の海に飛び込む感じ。原研哉氏流にいうところの「異質なものを意図的に接触させる」を思い浮かべてポジティブに解釈しつつ、荒業に挑んでみました。やり方が合理的かどうかはともかく、そうせざるを得ない状況なんだから仕方ない。
硬派なコーポレートサイト、家庭的な老舗ショップサイト、ファンクなロックバンドサイト。全く異質です。アタマの中で燃焼している”こーしたい、あーしたい”を、3つの画面を一定の区切りごとに切り替えながらデザインしていく。なんてロックなんでしょう。ミクスチャーロック。混沌とした状況というのは神経が研ぎ澄まされているのか、いや、むしろ混沌から秩序を生み出そうと神経を研ぎ澄まさざるを得ないのか、アイデアが循環されて、ひとつのものに没頭するやり方では得られないような波及効果があったような気がします。たとえばフォントひとつとっても、コーポレートサイトに大胆な文字組みを取り入れたり、いつもならゴシックなところを明朝にしてみたり、アメリカンロックなデザインに筆字っぽい欧文フォントを取り入れたとか。さらには、方向性がブレないようにいつも以上にクライアントの希望をしっかりと頭に浮かべながら…。ちょっとしたことですが、忙しい時って自分の得意な手法でスルーしがち。新しい”気づき”を生み出すための意識改革として、自分としては効果のあるやり方でした。
そして今日は休出。Noトーク、No電話、Noメールでそれらのデザインに準ずる作業に没頭。いうなれば、静寂の中のスラッシュメタル。