らしさとは?を楽しく学ぶ

-番外編 八-答えは出なかった。でも、ほぐれた。
エルくんとハクライが、同じ問いに向き合った日。
その日、社長が言った。
舵取社長
エル、ハクライ。今日は二人でワークをやれ
ベイ・ハクライ
ワークショップ・セッションでごじゃるか。アジェンダとファシリテーターのアサインメントは?
舵取社長
お題はひとつだ。『あなたにとって、いい仕事とは何か』。一時間、話してこい
それだけ言って、社長は出かけた。事務所に、エルくんとハクライだけが残された。
答えを出そうとした
ベイ・ハクライ
「いい仕事」のデフィニションとしては、アウトカムがクライアントのエクスペクテーションをエクシードしてバリューデリバリーがコンファームされたステートでごじゃる
エルくんは少し考えた。
エルくん
いい仕事、でござるな。拙者は、お客さんが喜んでくれたときに「いい仕事だった」と思うでござる。でも、それだけでもない気がするでござる
ベイ・ハクライ
クライアントサティスファクションはネセサリーコンディションだが、サフィシエントコンディションではないでごじゃる
ベイ・ハクライ
お客さんが喜ぶのは必要だが、それだけでは足りない、ということでごじゃる
エルくん
ハクライ、今ちょっとわかりやすかったでござるよ
ベイ・ハクライ
……ソーリー、アンインテンショナルでごじゃる
立場を変えてみる
エルくん
ハクライはどう思うでござるか。ハクライにとって、いい仕事とは
珍しく、ハクライが黙った。
ベイ・ハクライ
……プロジェクトのコンプレキシティが高くて、ソリューションのエレガンスが達成されたとき、サティスファクションを感じるでごじゃる
ベイ・ハクライ
……そう、でごじゃる。エルに訳してもらって、クリアになったでごじゃる
今度はエルくんが黙った。
エルくん
拙者も、お客さんの問題がうまく解けたときが一番うれしいでござる。ハクライに聞かれなかったら、気づかなかったでざるな
ほぐれてきた
そこへ長老が通りかかった。
エルくん
「いい仕事とは何か」でござる。でも、答えが出ないでござる
ホウホウ長老
問いは答えるためにあるのではない。ほぐすためでもあるのじゃ。考えている間に、自分が何を大切にしているかが見えてくる。それが問いの本当の役割じゃ
長老は、エルくんとハクライを交互に見た。
ホウホウ長老
二人とも、同じことを大切にしておるようじゃな
エルくんとハクライは、顔を見合わせた。
一時間後、社長が戻ってきた。
舵取社長
それでいい。答えを急ぐより、ほぐれた状態でいる方が、いい仕事につながることがある
舵取社長
そうだ。何をつくるかより、なぜつくるのかを考えられるかどうかだ
長老が、静かに付け加えた。
ホウホウ長老
問いを立てること、頭をやわらかく保つこと、人と対話することを惜しまないこと。それがこれから大事になってくるじゃろう。職域には関係ない
エルくん
拙者もハクライも、同じところを目指しているってことでざるな
ホウホウ長老
言葉が違うだけで、向いている方向は同じじゃった。それに気づけたのが、今日の収穫じゃ
その日から、エルくんはハクライの「サティスファクション」という言葉を聞くたびに、「きれいに解けたとき」という意味が頭に浮かぶようになっていた。
答えを急がず、考え方をほぐしながら、人と人をつなぐ。それがいい仕事なのかもしれない、とエルくんはなんとなく思った。まだうまく言葉にはできないけれど。
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制作・監修
デザインスタジオ・エル
ブランディングデザイン会社|長野
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