らしさとは?を楽しく学ぶ

-エルくんの挑戦 弐の巻-社長の背中を、盗み見た日。
エルくん、社長の商談に忍び込む。
その日、エルくんは天井裏にいた。
忍者たるもの、師匠の技は盗むもの——そう決めていた。社長が大事な商談をするという話を小耳に挟んだエルくんは、前日の夜のうちに商談室の天井裏へのルートを確認し、当日の朝、音もなく潜入した。
エルくん
社長の言葉の選び方、間の取り方、全部盗んでやるでござる!
格子の隙間から見下ろすと、社長が座っていた。向かいには、背広をきっちり着た男性。エルくんは見たことがない顔だった。
社長が、ちがう
いつもは短く、強く、無駄がない。でも今日の社長は違う。姿勢がまっすぐで、言葉を選んで、相手の話をじっくり聞いている。
エルくん
しゃきっとしているでござるな。いや、いつもしゃきっとしているでござるが……もっと、なんというか……
エルくんはうまく言葉にできなかった。ただ、なんだか社長が、遠い人に見えた。
盗む
大黒さん
いやあ、舵取さんのところにお願いしてよかった。おかげで社内の見え方がずいぶん変わりましたよ
舵取社長
それはよかったです。続けることが大事ですから
大黒さん
ほんとうに。うちの若い連中も、『会社のことが好きになった』と言い始めて。
舵取社長
言葉にすることで、自分たちのことが見えてくる。それだけのことです
エルくん
「それだけのことです」……でござるか。シンプルに言い切るのかっこいいでござるな。メモメモ
大黒さん
うちはまだ言葉にできていないことが多くて。強みは何かと言われても、自分たちではなかなかわからなくて
舵取社長
当たり前になっているものほど、外から見ると強みだったりします。慣れた目では見えないんです
エルくん
慣れた目では見えない……これでござるか。だからヒアリングが大事なのでござるな。社長、全部つながっているでござる……!メモメモ!
エルくんは興奮しながら巻き物に書き留めた。筆が走る。
舵取社長
御社の強みは、積み重ねてきた時間の中にあります。それを言葉にするだけでいいのです
大黒さん
……それを聞いて、少し楽になりました。作るんじゃなくて、見つけるんですね
エルくん
社長……!それ長老がいつも言ってることでござるが、社長の口から聞くとまた違うでござるな……!
聞こえてきた
大黒さん
ところで、舵取さんのところの若いのは元気にやってますかな?
エルくんは、格子にぴたりと顔を押し当てた。
舵取社長
まだあぶなっかしいところはあります。でも——
少し、間があった。
舵取社長
彼のがんばりのおかげで、自分も元気をもらっています。これからうちの切り札になるかもしれないです
エルくんは、格子から顔を離せなかった。
いつも短く切られる。いつも止められる。「待て」「違う」「そうじゃない」。それしか言われたことがないと思っていた。
なのに。
目のあたりがじんとして、L字の鼻をすすった瞬間——
ごとん。
天井裏から降りたエルくんは、社長にしこたま叱られた。大黒さんは最後まで笑っていた。帰り際、大黒さんがエルくんに小声で言った。
エルくんは、頭を深々と下げた。言葉が出なかった。
その夜、エルくんは巻き物を開いた。今日盗んだ技を書き留めようとして、筆が止まった。頭に残っていたのは、「彼のがんばりのおかげで、自分も元気をもらっている」という社長の言葉。
「社長は、ちゃんと見ていてくれたでござる。期待を、もっともっと超えたいでござる」
エルくんの奮闘は続く。
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制作・監修
デザインスタジオ・エル
ブランディングデザイン会社|長野
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