SBWカンファレンス『シフト -VUCA時代の思考法- 』
企業のWebサイト活用を支援するプロジェクトとして「インターネットとこれからの社会」について学び、語る場を提供してくださっているSBWのセミナー『シフト -VUCA時代の思考法- 』に参加しました。「ネットとリアルの融合」をテーマに、不確実な時代を生き抜くための、新しい組織論・リーダー論、会社と個人の在り方、テクノロジーによる新たな枠組み…といった多面的な思考を学んできました。
第1部:ビジョンとリーダーシップ
山口 周 氏(独立研究者・著作者・パブリックスピーカー)
先行き不透明な時代には「美意識」を軸とした意思決定が必要。論理的思考のみに立脚しない、これからの組織ビジョンの創り方とは。山口さんの著書を精読し、今後の道しるべとして多くの視座を得ていたので、それらを定着させるようにと丁寧に言葉を拾いながら、あらためて「真・善・美」や「直感」を大事にしていきたいなと思いました。
- 組織の中での判断は、圧倒的にサイエンス(理性)>アート(感性)。説明できて合理的なほうが重要と捉えられる。そういう時代が続いた。しかし、すべての判断が合理性だけに立脚すると、自己保身でしか判断しなくなり、会社は弱くなる。
- 「問題が希少で解決策が過剰」という時代に突入した。意味/情緒・ロマン/ストーリー/共感/なつかしさ これら「希少なもの」を作れることが新しいリーダーに求められる。
- 人工知能が普及すると、人間に「正解」を出させる仕事は今後なくなってくる
- 「役に立つ」と「意味がある」のどちらをとるかは経営戦略そのもの。「役に立つ」は物差しがひとつしかない、血みどろのレッドオーシャン。ある一定のところにいくと望まれなくなる。「意味がある」には付加価値がある。多様な意味をとれればブルーオーシャン。
- 差別化できるのは「希少なもの」。内側に目を向け、その人らしいユニークさを出す
第2部:組織と個の関係性
ヨッピー 氏(フリーライター)
組織の論理と個人のやりがいは構造的、本質的に対立する概念であると。組織にいながら個人のモチベーションや成長はどのように実現するのか。個人と会社それぞれのいいところ悪いところを挙げながら、双方にある矛盾をどうクリアすべきかのお話。自分も会社員と経営者両方経験があるので、どっちの立場もわかるがゆえに、今後の「個」と「組織」の在り方について考えさせられました。この関係性については、まさに眼前の課題として、しっかり向き合っていかなければなりません。
- 「会社」と「個人」がグラデーションのように融合していくような組織図を描くことが、今後の経営で必要。
- 働き方に多様性をもたせると勝手にギルド化する
- 芸能事務所とタレントの関係性に近い
- 頑張りたくないから自由になりたい、ではなく、自由になるために頑張る
- 最大HPを上げる(体力と精神力)。回復魔法を持つ。あと気合い。
ジム通い始めて2年。最近の趣味が温泉、それから回復魔法として腹式呼吸を取り入れているので、最後の話はなかなかドンピシャでした。気合いはやや足りない気がする…。
第3部:テクノロジー戦略
伊藤 佑介 氏(博報堂ブロックチェーン・イニシアティブ)
テクノロジーを通じた個人主導の新しい社会の枠組みの可能性について。僕の知識レベルは、ビットコインやブロックチェーンについての本を2、3冊読んで基礎は把握している程度。序盤はブロックチェーンの仕組みなどの基礎のお話。秘密鍵と公開鍵を、実印と印鑑証明を例えにした解説がとてもわかりやすかったです。後半、ブロックチェーンが持つイノベーション視点で「価値の限界コストがゼロになる」のところが面白くて。ブロックチェーンに超アツい講師による超アツい解説で、怒涛のクライマックス。
- 世界中の人が経済価値を作りだしてネットワーク上で自由にやりとりできるようになる
- トークンコミュニティ=同じものに価値観を持った不特定の人が活発に価値を交換するコミュニティ
- データに物理的な法則をもたらしたのがブロックチェーン。データだけど「所有」でき「信用」できる(改ざんできない。データのルールも変えられない)
- 転売されたら10%が作者に支払われる仕組みが最初から組み込まれるなど。転売されたほうがビジネスになる
博報堂ブロックチェーン・イニシアティブでは、ブロックチェーンに関する様々なサービスをリリースしていて、伊藤さんらブロックチェーンに情熱を注いでいる人たちが生活者に「価値」を届けるため、この仕組みを使って次々とチャレンジし取り組んでいる姿に、ぶっちぎりなアツさを感じました。
交流会
ヨッピーさん、伊藤さん、モデレータ坂田さんによるトークセッション。お酒も入っての本音トークが終始盛り上がっておりました。いろんな人と雑談し、あっという間に時間が過ぎていきました。
まとめ
自分自身や組織の未来に向けての「美意識」の話。経営や働き方と向き合う「組織と個」の話。もともと関心としては高くなかったけど、聴いてみたらすごく興味が出たブロックチェーンによる新しい「価値」の話。どれも自分ごととして、肥やしになるお話が聞けました。貴重な機会をありがとうございました。テーマとして先取り感が強めでしたが、SBWがテーマに取り上げてくれたことは、ここ長野で、多くの人に新しい気づきと目的意識を提供してくれたと思います。これでVUCA時代、乗り切れるかな!?