NoteWebディレクター・ハラヒロシのブログ

歴史の描き方

NHK大河ドラマ『おんな城主直虎』第33話「嫌われ政次の一生」。政次の、嫌われ者として己と直虎と井伊家のために本懐を遂げた壮絶な結末。神回になるという予想のはるか上をいく展開に涙腺崩壊です…。セリフと真逆の心情を映し出すふたりの演技がすごかった。史実で読む政次は、讒言で井伊家を苦しめた家老として悪人のイメージ。どのような落としどころになるのか注目していましたが、こんな描き方があるのかと、すごい脚本でした。
さて、大河ドラマの肴ともいえる副読本併読は趣味といってもいいのですが、ある程度登場人物の理解を深めてからの後追いで読むほうが好きでして、今回井伊の知識がまったくなかったので副読本の物色は最近になってようやく。手に取ったのが『井伊一族 – 直虎・直政・直弼』。直虎、徳川四天王の直政、江戸末期の大老直弼という3人を中心に取り上げた通史。平安時代~幕末まで千年続いた井伊家には何度も没落の危機があり、その長い歴史の中での栄枯盛衰をとてもわかりやすく解説してくれています。
井伊家のフィルタを通して、荘園、地頭といった教科書で習ったようなことや、関ケ原、大阪の陣、幕末・明治維新といった主要な史実を絡め、千年もの時間を俯瞰できる超大河ドラマといってもいい、歴史ロマンに浸れる一冊。

井伊一族 - 直虎・直政・直弼 (中公文庫)
相川 司
中央公論新社 (2016-11-18)
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