いかにすべきでないか
ネットのニュースはコメントまでセットで読む…は、いまや当たり前となりました。ところで、そのコメントを読んでいると、ニュースそのものに対してではなく記事についての批評が目に留まることがよくあります。とっくの昔に、取材するニュースから加工するニュースで溢れる時代になったと言われていますが、いまでは誤字、情報の不正確さ、取材不足、捏造、行き過ぎな取材などがみてとれるニュースに対して、利用者は鋭い指摘を発信者に投げ返します。
現実というのは一つしかないけれど、それをどう伝えるか、どう表現するかは送り手によって異なります。伝える仕事、作る仕事は送り手の一員。ひとごとではないですね。
というわけで、「いかにすべきでないか」を説いたこちらの本は一読の価値あり。1962年刊行のメディア論の名著ですが、今読んでもまったく古さを感じないです。幻影を知らずに現実と思いこむのか、理性的に見つめて身を置くのか。
『幻影の時代 ― マスコミが製造する事実(著:D.J.ブーアスティン、翻訳:星野郁美, 後藤和彦)』