NoteWebディレクター・ハラヒロシのブログ

思考と行動における言語

『思考と行動における言語』S.I.ハヤカワ (著), 大久保 忠利 (翻訳)
相方から、難しい本を貸してくれと言われたので、迷わずこれを引っ張り出して渡す。言語が人の思考と行動にどのように作用するかを説いた、コミュニケーションに携わる人にとって必読書と言われている一般意味論の本。大学(情報学)のゼミで必死で読んだ本でして、なかなか思い入れが深く本棚の奥に大切にしまっています。
コトバはモノではない。地図は現地ではない。
当時は理屈としてなんとなく理解はしましたが、社会に出て情報を扱う仕事に就き、インターネットに関わり、まさに情報氾濫のど真ん中で仕事をしてみると、この本の論旨がなおさら理解できるようになりました。そんな、情報にあふれる世界に身をおいているいま、正しく情報を理解すること、正しく情報を伝えることはとても大切なこと。抽象のハシゴを柔軟に上り下りしながら、相手に正確に理解してもらうように気を配らなくてはなりません。とある言葉について、抽象レベルを上げていくといままで気づかなかった共通点や概念にたどりつくし、逆に下げていくとより具体的な問題点にぶつかっていく。言語は、人の行動を決めます。コンテンツでも、提案でも、メールでも、相手とのコミュニケーションをとるときに、抽象レベルを意識することは、相手との信頼関係を築くという点でも大切なことのように思えるので、これからのチームの成長においても注力していきたいポイントだと思っています。
言語は思考を表現するものだけれども、それをどう使うか、操るかはとても難しいもの。いままさに自分も再読する機会なのかもしれないと思い、貸したはいいけど背後から割り込み読み…。奪い返してしまいそうな勢い。僕にとってはかなり難しい本だったのですが、いま読み返すと著者の示唆に富んだ表現を楽しめるようになって、すこしは成長したようです自分。
思考と行動における言語