thee第5回公演『ハンバーガーヘブン』
thee第5回公演『ハンバーガーヘブン』観てきました。上演時間が110分という大作に仕上がったということで、これは腰を据えてじっくり味わなければ、という心構えで鑑賞に臨みました。
そのスケール感を十分に味わえる時空の流れでストーリーが進んでいきます。ひとつひとつのシーンを丁寧に描き、それを噛み締めながらじわじわと感情移入していける深みのある演出で、次第に前のめりになります。また、会場の広さを活かした演出には奥行きがあり、会場にとどろく役者さんの声、足音、そして映像と音響がよりいっそう迫力をもって響いてくる、舞台に引き込まれるような一体感を感じさせる空間でした。
人望は厚いがぼちぼち死ぬらしい、ひとりのヤクザ。彼の号令により、さもないガレージに集められた、さもない暴力団組織の皆さん。組織のボスを暗殺すべく、雑を極める殺人計画。ハンバーガー食っていざ殺し合い、騙し合い。寄せては返す欺瞞の波。
とりあえず、お憎たっぷりのハンバーガーでも齧ろうか。
齧れば齧るほど憎たらしい、空腹トラジコメディ。
彼らのハッピーセットとは、一体。
i’m hatin’ it.(あらすじより)
theeならではの悲劇と喜劇が織り交ぜられた「トラジコメディ」の世界が、ハードにシリアスに埃っぽく繰り広げられます。役者さんひとりひとりの迫力ある熱演、緊張感のある場面切替に衝撃的なシーンも絡んだりして、最後まで目が離せないドキドキな展開であっという間に110分が過ぎました。
theeの公演は5回とも観させてもらいましたが、今回はまさに”貫禄”を見せつけてもらったという印象です。すごいなthee。同じ回には多くの仲間が見に来ていて、観劇後に東京組を交えた20人弱の集団で、「やひろ丸」で演劇を肴に魚を食べるというひとときを。いいものを観たあとにそのテンションで話ができるというのも素敵だと思います。
さて、日曜日の公演もまだ当日券あるっぽいので、お時間ある人は是非アゲインホールへ!
今回、チラシとチケットのデザインに携わることができて光栄です。