NoteWebディレクター・ハラヒロシのブログ

マネー・ボール

マネー・ボール情報収集で毎日利用している「Gunosy」ですが、開発チームの方々が厳選した「Web業界人が読むべき”統計学”の必読書」という記事で『マネー・ボール』を真っ先に挙げていたのが印象的で、原作をKindle版で買ってようやく読了。映画もよかったですが、原作でのエピソードの豊富さはたいへん重厚なものでした。面白かったです。
url 《Gunosy》開発チームが厳選、WEB業界人が読むべき”統計学”の必読書ベスト5│CAREER HACK
『マネー・ボール』はブラッド・ピッド主演で映画化もされた、MLBの貧乏球団オークランド・アスレチックスのGMビリー・ビーンを題材にしたノンフィクション本。これまで野球界になかった新しい評価基準、”セイバーメトリクス(野球に統計学的な視点を生かす方法)”を取り入れて選手の評価や戦略を行い、資金力という不公平性の中で金満球団に勝つために徹底してこの理論を実践していく奮闘ぶりが描かれています。
勝率を上げるための要素を統計学的に分析すると、出塁率を高め長打で得点するというのが最も効率的。打率が高いにこしたことはないけれども、そういう選手はコストが高いので打率が多少悪くても出塁率の高い選手を雇います。四死球を含めた出塁率や長打率、選球眼を重視し、バントや犠打、打点、盗塁、失策はあまり重視しません。それらひとつひとつに明快な裏付けがあって、理論に基づく指標の数々が目から鱗の連続でした。
たとえば、スコット・ハーテバーグという選手。成績は平凡でプレーも目立たないけれども、「初球を振らない率リーグ1位」、「見送り率リーグ3位」というなんとも地味な部門でリーグのトップクラス。もしこの選手がひとりで1番から9番まで打たせて試合をしたら、統計学的にはヤンキースの年間総得点を上回る球界最高の攻撃力になるといいます。
セイバーメトリクスを駆使し、他球団からすると価値がないと言われる選手や旬を過ぎた選手を安い金額で次々と獲得し、優勝を争うチームを作り、活躍した選手を高額で放出する…というビリー・ビーンの哲学、ものの捉え方を存分に堪能できます。極端だなぁ、とも思いますけれども。ヤンキースのようなチームと対極にこういうチームづくりがある、という構図が面白いです。
昔から野球の統計データには関心があって、シーズン中はMLBやNPBのサイトを毎日開いてはスタッツを眺めるのが楽しみ。分析するなんてことはないですが、この本を読んで野球の統計データの見方が面白くなりそうです。データは野球を楽しむための一側面であって、純粋に面白いゲームが展開されるのがいちばんですけど。
いよいよWBCもはじまりますが、今年はより一層野球熱が高まりそうです。
url マネー・ボール – Wikipedia
url ビリー・ビーン – Wikipedia
url セイバーメトリクス – Wikipedia
url 誠 Style:「金持ち球団が強い流れに戻っている」――『マネーボール』のビリー・ビーンGMインタビュー