作業に没頭しないこと
僕がWebデザインを始めた当時(1998年ごろ)は、HTMLとかのセオリーはほとんど気にせず好き勝手作っていました。世の中の動きに比例して徐々にルールに寄りながら、それこそ長期熟成でやっとそれなりに…という時間のかけ方。それは自分にとって無理を感じることのないスピード感だったのですが、これから始める人は大変だなと、アルバイトを指導していて思います。
職業として成熟してきていることもあって、デザイン・コーディング・Web全般の知識など、基礎の範囲がやたら広くて深い。覚えることばかり。ルールを覚えなきゃという感覚がどうしても先にきてしまいます。それはもちろん大事。でも、「作業」に追われることに全ての意識が行くと、いつまで経っても作業人から抜けられなくなるので気をつけなければならないところです。
どんな地道な作業でも、本質的かつ大局的なこと、例えば
・クライアント(業務内容や社会との接点など)を理解する
・誰のために、何のためにやっているのか理解する
・自分が何をしたいかの認識のもと、手を動かす
・周囲のスタッフとどのように関わっているか理解する(どういうデータを作ったら相手が喜ぶかなど)
など、わかっていて作業しているかどうか。
人物の切り抜き一つにしても、単に与えられた画像を切り抜く「作業」にばかり目を奪われるのではなく、この人物はどの会社のどんな部署に所属して、どんな仕事をしてなんでこのポーズを取っているのかとか想像し、調べ、確認しながら切り抜きをする。下積みしながら、つまんねーと腐らずにそういう意識をもって取り組める人は、はやい段階で作業から仕事と呼べるものに出会えると思います。技術とともに、見る目もそれ以上に鍛えてほしい。
後ろから見ていると何が得意で何が苦手かが手に取るようにわかります。慣れない作業だと他に気が回らない。それは当たり前。当たり前だけど、本質も見よう。それを伝えやなきゃ!という気づきも、自分にとっても意義深いのですけど。理解して、実践してくれるスポンジのような吸収力に期待します。