らしさとは?を楽しく学ぶ

-エルくんの挑戦 四の巻-答えは、参考サイトの中にはなかったでござる。
エルくん、デザインの答えを外に探しに行く。
新しい案件がスタートした。地域で長く続く食品メーカーのWebサイト。エルくんは張り切っていた。
まずやることは、参考サイト集め。ギャラリーサイトを開き、Pinterestで収集し、競合サイトを眺める。二時間後、エルくんのデスクには100枚近いスクリーンショットが並んでいた。
エルくん
完璧でござる!方向性が見えてきたでござる!
エルくん
参考サイト集めでござる!方向性を決めるためでござる!
エルくん
まだでござるが、参考サイトが揃ってからでござる!
行き詰まる
それでもエルくんは参考サイトをベースにデザインを進めようとした。余白が広い、写真のトーンが統一されている、フォントが洗練されている。いい要素は揃っている。でもなんか、違う気がする。
一時間、画面を眺めた。手が止まった。何が違うのかわからない。でも、しっくりこない。エルくんはため息をついて、ヒアリングメモを開いた。読んだことがなかったわけではない。でも、ちゃんと読んでいなかった。ページをめくっていくと、一行が目に止まった。
「うちは派手なことをしてきた会社ではなくて、地道に、ひとつひとつ積み上げてきた会社です」
エルくんは、集めたスクリーンショットを見た。洗練されている。きれいだ。でも。
参考サイトで見えるのは「結果」だった
エルくんは社長のところへ行った。
エルくん
社長。参考サイトを100枚集めたのに、全部違う気がするでござる。なぜでござるか
エルくん
余白が広い、フォントが洗練されている、写真のトーンが統一されている……でござる
舵取社長
結果だ。なぜそのデザインになったかは見えていない
そこへ長老が現れた。
ホウホウ長老
エルよ。Appleのサイトを見て「余白が多い」と分析することはできる。でも、Appleらしさ=余白ではないのじゃ
ホウホウ長老
その背景には、製品への自信がある。複雑さを徹底的に削ぎ落とそうとする思想がある。余白は、その思想の結果にすぎんのじゃ。理由を飛ばして結果だけを持ち帰っても、表面だけが似た何かになってしまう
エルくん
……拙者が集めたのは、全部「結果」だったでござるな
ホウホウ長老
そうじゃ。参考サイトはあくまで「表現の一例」であって、答えではないのじゃ
答えはヒアリングメモの中にあった
エルくん
「地道に、ひとつひとつ積み上げてきた会社です」でござるか
ホウホウ長老
そうじゃ。デザインは翻訳に近いのじゃ。企業の価値観を翻訳する、歴史を翻訳する、文化を翻訳する。同じ余白でも、上品さを表現する余白もあれば、誠実さを表現する余白もある。本当に考えるべきなのは余白そのものではなく、その背景にある意味じゃ
エルくん
「地道に積み上げてきた」を、どう画面に翻訳するかを考えるでござるな
ホウホウ長老
そういうことじゃ。デザインを「見た目をつくる仕事」だと思うと、答えは外にある。「意味をつくる仕事」だと思うと、答えはクライアントの中にあるのじゃ
エルくん
……順番が逆だったでござるな。参考サイトを探す前に、ヒアリングメモを読むべきだったでござる
ホウホウ長老
うむ。参考サイトは、方向が決まってから見るものじゃ。方向を決めるために見るものではない
エルくんはデスクに戻った。100枚のスクリーンショットを一旦閉じて、ヒアリングメモをもう一度開いた。
「地道に、ひとつひとつ積み上げてきた」。その言葉をノートに書いた。その会社の何十年を想像した。派手さより誠実さ。速さより丁寧さ。そういう会社が、画面でどう見えたらいいか。
手が、動き始めた。
「クライアントの言葉の中に、デザインの答えは眠っていたでござるな。」
エルくんの奮闘は続く。
記事一覧へ
制作・監修
デザインスタジオ・エル
ブランディングデザイン会社|長野
デザインスタジオ・エルは「超えるをつくる」を合言葉に「らしさ」をかたちにする、ブランディングデザインの会社です。
Webサイト制作やグラフィックデザイン、企業理念やキャッチコピーのご依頼やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
デザインスタジオ・エルのブランディング事例はこちら

©DESIGN STUDIO L.